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技術解説

電子顕微鏡除振

振動の大きい床に直に電子顕微鏡を設置すると像ブレが発生するため、除振台電子顕微鏡の下に入れて装置を除振することで像障害が起きない状態にできます。このように書くと、除振台は床の振動を吸収して全く電子顕微鏡には伝えない電気の絶縁体のようなものと思われがちですが、そうではありません。

振動(力)を伝えたくないモノ→電子顕微鏡でいえば鏡体部(ステージ、電子銃、検出器)をやわらかいバネで支持し、鏡体部の揺れ方をゆっくりとしたシンプルな揺れにして、床から入ってくる高い周波数振動を低い周波数に変換することで、鏡体に伝わる力(加速度)を小さくすることが除振台の使命です。


1.除振方式の理論

電子顕微鏡除振する方法は、除振したい鏡体部を除振マウント4個で支持することにより、鏡体部全体を水平方向に約1~2Hzに単一のモ-ド(揺れ方)で揺れる構造を作り上げます。
より高度な除振を必要とする場合は、上記マウントで支持した電子顕微鏡全体を除振台で支え、鏡体部を水平方向0.5~1Hz、鉛直方向1.7~2.3Hzの揺れに変換して、鏡体部を支える除振マウント除振台との二重除振効果により、より大きな振動除振します。
下図に重量Mの鏡体をバネ定数kの除振マウントで支持した模式図を示します。

このような構造物の重量Mと除振マウントバネ定数kにより決定される揺れの周波数f(Hz)を固有振動数fo(Hz)と呼びます。
fo = 1/(2π) * (103 * k * g/M) (Hz)・・・(4)
ここで、
k : ばね定数(kg/mm)
g : 重力加速度(9.8m/s2)
M : 重量(kg)
(4)式は重量Mとばね定数kの比率k/Mを小さくすればするほど固有振動数は低くなることを表わしています。この固有振動数fo(Hz)で鏡体は揺れやすくなります。
たとえば実施例のように鏡体が約2Hzの固有振動数で揺れやすい構造の場合に床上に約2Hzの振動があるとそのまま鏡体上では増幅した2Hzの振動が現れます。これが共振です。
この場合は電子顕微鏡の設置予定場所の振動測定をせずに電子顕微鏡を導入した際に発生したクレーム報告の例です。これではせっかく導入した除振方式が台無しになります。
このようなことがないように電子顕微鏡設置環境測定を導入前に行い、事前に除振方式を検討し対応することが重要です。
除振効果を表わす量として振動伝達率Tが使われています。振動伝達率Tは床上Bと鏡体上Aの振動量の比(A/B)で表わします。
 T = A/B = ( 1 + (2 * ζ * f/fo)2) / ((1 - (f/fo)2)2 + (2 * ζ * f/fo)2)
と表わせます。
fo : 固有振動数(Hz)
ζは減衰定数と呼び、模式図の除振マウント減衰係数に関する定数です。
Tを横軸周波数f(Hz)で図に表わすと下図になります。

この図は固有振動数2Hz、減衰定数ζ=0.1のときの振動伝達率Tを表わしています。一般に振動伝達率Tはデシベル値(20logT)で表示します。
20dB = 10, 0dB = 1.0, -20dB = 0.1, -40dB = 0.01を表わします。
床上の振動固有振動数fo(Hz)で共振し、約3Hz以上から鏡体上の振動が床上の振動より小さくなる除振領域になります。周波数が高いほど除振効果が上がることになります。
もし床上Bの周波数f(Hz)が固有振動数fo(Hz)と一致すると装置は共振を起こします。f = foをTの式に代入すると、
T = (1 + (2ζ)2) / (2ζ)2
となり、ζが小さいほどTが大きくなります。このときのTの量を共振倍率と呼びます。

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